アジア医療研修会2019報告
- japanvietnamp
- 2019年8月30日
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昨年度の「アジア医療研修会2018」に引き続き、第2回となる今回は、北部ハノイでの実施でした。国際支援に関心のある医療、教育、福祉、労務管理、経営等に携わる老若男女27名が参加しての大旅行団になりました。
今年も仲良く、楽しく、大変学びの多い旅になりましたので、報告させていただきます。
<7月23日>
保健省母子保健局:ベトナムの母子保健の現状について局長のレクチャーを受けました。
国立産婦人科病院:院長、産婦人科部長、看護部長、助産師長とのミーティングの後、外来、妊婦入院病棟、分娩室、産褥室、新生児入院室(NICU含む)を視察しました。国内で一番といわれる産科専門のこの病院の年間分娩数は、約25,000件、帝王切開の割合は約45%、無痛分娩の割合は約80%とのことでした。
国立リハビリテーション病院・平和村:院長(ハノイ医科大学教授兼務)のレクチャーの後、活発な質疑応答を行いました。平和村では、日本式の機械織り物(さおり織)が行われ、日本人の理学療法士が活躍していました。昔は戦争障害者等が多く入所していましたが、現在は脳神経疾患や障がいの方が多く入所され、平和村の様子も変化しつつあるようでした。
女性博物館:戦時中や革命時の女性の活躍、華やかな民族衣装、出産や子育ての物品、ベトナム各地の結婚式の様子が展示されていました。
<7月24日>
バクマイ病院・熱帯病センター:感染症部門診療部長のレクチャーの後、活発な質疑応答を行いました。ベトナムでは、近年、衛生管理が向上し、昆虫媒介感染症(マラリア、デング、ジカ等)が減少しているとのことでした。HIV感染者数は横ばいであり、別棟に専門外来を開設して対応していました。
国連ハウス内WHOカントリーオフィス:ベトナムの保健事情、医療保険制度について、レクチャーを受け、活発な質疑応答を行いました。近年、ベトナムでは戦争障害での死亡、感染症が減少し、平均寿命が74歳となっていました。しかし、妊婦健診助成制度が全国で完備されているにもかかわらず、周産期死亡や5歳未満死亡率が依然として高く、周産期への対策が重要視されていることがわかりました。
コミューンヘルスセンター:ベトナムでは、国公立病院や民間大規模病院、地域の中規模病院に次いで、コミューンヘルスセンターが、特に病院へのアクセスのよくない地域の住民の健康管理(検診、予防接種、初期治療、家庭訪問等)を担っています。しかし、そこでは医師や看護師の数が十分ではなく、医療者の確保が課題となっていました。
国立ハノイ公衆衛生大学:公衆衛生学教育と研究のために設立された大学であり、保健省と密接な連携のもと運営されています。近隣のコミューンヘルスセンターの運営にも協力、指導を行っていました。広大な敷地に開放的かつ近代的な建物で、新品の機材を多く有し、ベトナムが公衆衛生学に力を入れていることを感じました。大学の教育の他に、地域の職業教育や語学教育に施設を開放していました。
ベトナム高齢者協会:保健省の指導、協力のもと、設立・運営されている団体です。WHOでの情報通り、ベトナムでは、近年急速に高齢化が進み、対策が追い付かずにいる現状です。高齢者協会だけでなく、ベトナム保健省では、日本のような既に高齢化社会に突入している国からの情報提供や事業協力への強い要望があり、今回の訪問では、我々一行のためだけに100名以上の協会メンバー、局長を含む保健省関係者が多く集まり、イベント(高齢者による歌や舞踊、健康体操、記念品交換、訪問団へのインタビュー)が催される等の大変な歓待を受け、継続的な交流を約束しました。
<7月25日>
世界遺産ハロン湾:世界遺産登録のハロン湾と鍾乳洞見学に参加し、アジアにおける世界遺産保存事業の重要性、地理的特徴について学びました。
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